Campus Smile

【Campus Smile】鈴村 優太さん(静岡キャンパス)

投稿日2024/3/19
(この記事は東海大学学園校友会『TOKAI 210号』から転載しています)
 

海洋学部水産学科の秋山信彦教授、大学院地球環境科学研究科博士課程の鈴村優太さんらの研究グループの論文「マダコ用シェルターの適正間隙及び適正配置方法の検討」が、令和4年度日本水産学会論文賞を受賞しました。同賞は毎年、『Fisheries Science 』と『日本水産学会誌』に掲載された報文の中から、特に優れた論文が選出、表彰されるものです。
「研究の成果を論文に執筆する役割を担いましたが、一人ではできなかったことだと思います。研究室のメンバーとの協力、先輩から引き継いだこと、先行研究を進める他大学や企業の方々からさまざまなご意見をいただいたことなどがあって、仕上げることができました。支援してくださった皆さんに心から感謝しています」と、笑顔で話す鈴村さん。
日本では古くから食材として親しまれるマダコですが、消費の多くを輸入に頼っています。近年はヨーロッパでの需要も高まり価格が高騰する中、養殖が期待されていますが、その技術はまだ確立されていません。


学会大会で受賞の喜びを話す鈴村さん

今回の研究では、PVC(ポリ塩化ビニル)板を組み合わせてシェルターを作成し、マダコの飼育に適した状態を調査。マダコは板の向きを横よりも縦に配置した方を好むこと、隙間の数が多いほど利用する個体数が増加することが分かりました。「マダコは小さな隙間があると逃げ出し、狭い所で複数飼育すると共食いしてしまうため、一つの水槽で大量に飼育することが困難でしたが、PVC板を用いたシェルターは複数のマダコを収容するのに適しているという結論を導き出せました。今後は、幼生を成長させたタコから採卵・孵化させるサイクルの実現、人工飼料開発などの研究を進めていきたいと思います」
養殖技術の確立を目指す鈴村さんの飽くなき挑戦は続きます。


鈴村さんの論文が掲載された『Fisheries Science』
(2022年88巻2号)

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https://www.u-tokai.ac.jp/news-campus/475866/