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【私の逸品】南 秀樹(東海大学生物学部)先生

投稿日2026/3/13
(この記事は東海大学学園校友会誌『TOKAI 219号』から転載しています)

長年にわたり研究を支えてくれた
高性能・高感度な分析装置

ICP-AESは、試料を超高温のプラズマで加熱し発光させ、その光から元素の種類と量を測定する装置だ。私がこの装置に初めて出会ったのは大学4年次のこと。浜名湖の堆積物に含まれる微量金属元素の測定に使い、大いに感動した。何しろわずかな試料から20〜30種類もの元素を一度に測定できるのだ。吸光分析器が一元素ずつしか測れないことを思えば、性能の高さは歴然である。研究の面白さに目覚めた私は、その後もICP-AESを相棒に海洋中の微量金属元素の研究を続け、1993年には北海道東海大学(当時)に拠点を移した。当初、札幌キャンパスにはICP-AESがなかったが、OBのツテで中古機を入手してからは、研究が俄然はかどった。大気や海水堆積物、間隙水などに含まれる微量元素を測定することで、海中での元素の動きも見えてきた。こうして20年以上にわたって活躍したICP-AESだったが、老朽化により部品調達やメンテナンスが困難になり、ついに引退の時を迎えた。寂しさはあるが、現在札幌キャンパスでは新1号館が建設中。新たな実験棟での新しい装置との出会いに、今は大きな期待を寄せている。



南 秀樹

東海大学生物学教授、北海道地域研究センター所長、札幌図書館長。東海大学海洋学研究科海洋科学専攻博士課程後期を中退し、1993年北海道東海大学工学部海洋開発工学科助手として着任。東海大学統合により2008年東海大学生物理工学部海洋生物科学科所属となり、2012年に現在の東海大学生物学部海洋生物科学科教授となる。日本地球化学会、日本海洋学会に所属。一般社団法人北海道海洋文化フォーラム理事。