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【私の逸品】三角 育生(東海大学情報通信学部客員教授)先生

投稿日2026/3/18
(この記事は東海大学学園校友会誌『TOKAI 220号』から転載しています)

日本の立場を国内外に示す
サイバーセキュリティ戦略立案の集大成

私は33年間の政府勤務のうち、約半分をサイバーセキュリティ政策や経済安全保障政策に捧げてきた。中でも思い出深いのは、2015年9月に閣議決定された日本初のサイバーセキュリティ戦略の取りまとめに、実務責任者として携わったことだ。戦略を書面化するにあたり重視したのは、具体的な固有名詞や細かな事項は盛り込まず、骨太で「なるほど」と思わせる内容にすること。これにより国内の誰が読んでも理解できる普遍性を確保するとともに、日本が自由主義国家として情報の自由な流通を重視する姿勢を明確に示した。本レポートはその成果物であり、海外で手土産代わりに配布することも考慮して、紙の質感や重さにまでこだわったものだ。大学で教鞭を執るようになった現在は、当時の経験を基に、学生に戦略的思考の重要性を説いている。グローバルで変革の激しい時代、確かな思想と戦略性を持って行動できる人材を育成することが、私の新たな使命だと考えている。

 

三角 育生

東海大学情報通信学部客員教授(取材当時、東海大学情報通信学部学部長)。1987年通商産業省(当時)入省後、サイバーセキュリティ政策、安全保障貿易管理などに携わり、サイバーセキュリティ基本法制定・改正やサイバーセキュリティ戦略の立案、日本年金機構事件等の重大インシデントへの対応などを行った。元内閣サイバーセキュリティセンター副センター長、経済産業省サイバーセキュリティ・情報化審議官。博士(工学)、MA in Management。