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海洋生物学科の田中准教授が参加する研究グループが新種のゴカイ類を発見しました

投稿日2022/5/31

海洋学部海洋生物学科の田中克彦准教授が参加する研究グループがこのほど、ゴカイ類の新種を発見。学名を「Spirobranchus akitsushima」と命名し、5月12日付でこの研究成果をまとめた論文が国際学術誌『ZooKeys』に掲載されました。

ゴカイ類(多毛類)は種数や個体数も多いことで知られ、日本沿岸では1500を超える種が報告されています。このうち、日本国内の磯によく見られるカンザシゴカイ科のヤッコカンザシは、南アフリカからインド洋、太平洋にわたって広く分布する世界共通種「Spirobranchus kraussii」だと考えられていました(Pomatoleios kraussii としている図鑑などもありますが、近年、Pomatoleios 属から Spirobranchus属に移されました。)。しかし、2019年に国際学術誌に掲載された論文で、世界各地から得られた標本の遺伝子の比較により、Spirobranchus kraussii が形態のよく似た複数種の混合であることが示唆されました。こうしたことを受け、田中准教授が参加する研究グループは、2020年から神奈川県鎌倉市の和賀江島(相模湾)や三浦半島西部、御前崎(静岡県)の磯から標本を採集。遺伝子解析や形態観察などから、南アフリカを基準産地とする本来の Spirobranchus kraussii とは異なることを明らかにしました。ヤッコカンザシは石灰質の硬い棲管を作り平均海面付近に帯状に群生する特徴を持ちます。その棲管はヤッコカンザシが死んだ後も遺骸として岩礁上に数千年単位で残ることから、過去の平均海面の推定の際に良好な指標となり、実際に地震による土地の隆起や沈降の証拠として利用されるなど地質学者からも注目を集めています。このことから、標準和名の「ヤッコカンザシ」はそのままに、過去の記録を残す様を踏まえて、日本の古称である「秋津洲」に因んだ学名が付けられました。

◆詳細はこちらの東海大学オフィシャルニュースよりご覧ください。
https://www.u-tokai.ac.jp/news-campus/104747/